2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(4)

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(4) 2019年11月24日発行 8 産声 女になるまえにもっていたはじまりのことばが古くなっていく。胎をふくらせうまれた空洞におそれが反響する。もう、ひらいているか? せんせいの指示どおり産声がおとずれるのをまっていて…

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(3)

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(3) 2019年11月24日発行 7 「産む」を作品にするとき 伊吹島の出部屋から考えること 1 瀬戸内国際芸術祭の秋会期初日、フェリーを降りて伊吹島の港に立つ。観音寺の港では小雨が降っていたが、島では晴れている。思えばせ…

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(2)

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(2) 2019年11月24日発行 4 やはらかに 5 ゆびわが7つ 6 魚島 4 やはらかに やわらかになる身体が死に逆らい浮かんでいる船が磔になりドクターの治療を受けているスピーカー揺らいで 輝く星 のまたたきスピカを尻尾の先に…

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(1)

個人詩誌『ひやそのほかの』創刊号(1) 2019年11月24日発行 1 まえがき 2 鍵がかかる―― 3 うみにつづく街 1 まえがき ひとりで潜って地下鉄を泳いでいた。京都市営地下鉄はまっすぐで、陸にあがると轟音が空気を押し出す。いつしかわたしの左耳から中低音が…

近況、思い出す。

菊池依々子 きくちいいこ on Twitter: "すっかり呆けてしまったという祖母がしかしわたしへの電話では確りとした口調で、あなたはいまもりだから、もりだから、と頻りに言う。子守の守なのだろうが聞き慣れない言葉なので森を連想してしまう。わたしはいま森…