近況、思い出す。
おばあちゃんはいつもひいおばあちゃんとわたしを取りあって、たとえば、わたしがおばあちゃんにもらったものはひいおばあちゃんに取りあげられ、ひいおばあちゃんがくれたものはおばあちゃんに取りあげられられた。
わたしにはもう会えないおねえちゃんがいる。従兄弟は突然いなくなり、おばあちゃんの家には鍵がかかっていてはいれない。
おばあちゃんは結婚してとおくへ行くわたしに、ごめんなさいねごめんなさいね、と書かれた手紙をくれた。
おばあちゃんの家には知らない鍵がかかっている。
おばあちゃん、から電話がある。従兄弟に電話のつかいかたを聞いたのだという。
あなたはいまもりだから――。
1年、あれから1年が経ち、わたしはもりをつとめ、檸檬の木のあるおばあちゃんの森には鍵がかかったままで、昏い。万年筆のインクが渇いてしまったね。
耕せばまたインクの道は通るのだろうか。わたしは守。会えない人に会いたい。
2年前に創刊した個人詩誌をこれまで手にしていただき、また宣伝にご協力いただきありがとうございました。現在もり――子守りが忙しく次号の制作が滞っておりますが、これを機に創刊号から少しずつ公開していってみようかと思います。