詩書を読む タケイ・リエさん『The inland sea』

文学フリマ以降、体調がすぐれない日がつづき滞っていたが、
またこちらに読んだ詩書や詩集の感想を書いていこうと思う。

タケイ・リエさんの詩集『The inland sea』

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詩のタイトルはせとうちの島々と港の名前を冠し、
詩の中にはふんだんに、島々の文化と瀬戸内国際芸術祭での作品がモチーフとして盛り込まれている。

そのことばは静かで平易であるが、
ところどころにあらわれる固有名詞や具体的な作品のモチーフがキリっと詩を成り立たせる。

例えば『小豆島 Shodoshima』では、
「化け物も竜神さまも/みんな仲良く/ヤノベケンジの作品です」
といったように。

静かな島の生活に立ちあらわれた瀬戸内国際芸術祭の作品そのもののようである。

また船にのること、離岸と着岸をつよく意識したような「港」を書いた作品、
高松港 Takamatsu port』『宇野港 Uno port』は、
いちばんつらい時期にフェリーにのることが多かったわたしにとって共感する部分が多かった。

「都から流れてきてやっと/自分の言葉で考えられるようになった」、

(『高松港 Takamatsu port』)

「いくつもの旅が/離岸と着岸をうながして/よろこびも怒りも/静かにさせる」
(『宇野港 Uno port』)

波のゆれと離岸・着岸によって「移動」をはっきりと感じることで自身にむきあう時間を持つことを思い出させる。そんな詩集だった。